【中学理科】NHK考えるカラスで研究授業。不思議な現象から科学の考え方を育む

つかさの教室、教室長のつかさです。
私自身教員時代に、NHK for schoolにある「考えるカラス」を利用した単元構成や研究授業をおこなっていました。
この記事では、活用できる単元と考えるカラスの話についてまとめていきます。随時追加予定です。
理科で目指していたところ
授業のわかりやすさという点ではベテランの先生方に勝てません。なので、私の授業で目指していたのは「授業が終わった後に会話が続く授業」です。
理科は身のまわりに溢れています。興味をもってもらいやすい学問だと思います。
- 授業で習ったことを休み時間の会話にしてくれる
- 授業で疑問に思ったことを後から質問にくる
- 授業で習ったことを家庭で話題にしてくれる
そんな姿が多くなるような授業をしたいと思い、授業研究に励んでいました。
知識の定着も大切なので、もちろん教え込む授業もするにはしましたが、興味をもってもらえそうな切り口から授業を構成していました。
中1「気体の性質」×【2本のろうそく】
長さの違う2本のろうそくを密閉したびんの中で燃焼させます。先に消えるのはどちらでしょうか?

長い方が消えてから、5秒ほどして(びんの大きさに依存します)短い方のろうそくが消えるという現象が起こります。
燃焼では、二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は空気よりも重たい物質ですので、下の方に溜まっていきます。しかし、今回の実験では長い方のろうそくから消えるのです。
既習内容からは、「短いろうそくから消える」と予想することができますが、実際は長いろうそくから消えます。
この既習とのギャップに生徒たちは釘付けになります。「考えるカラス」の動画は以下のボタンから見ることができます。
単元構成
単元の最後の活用の時間を使います。
カリキュラムによっては5時間ではなく4時間配分としている学校も多いと思いますが、探求のために時間を割り振っておきましょう。
時間 | 小単元名 | 主な学習課題 | 評価基準【観点】 |
1 | 身のまわりの気体の性質 | ・気体を集める方法を 知ろう | 酸素と二酸化炭素の水への溶けやすさの違いに着目し,問題を見いだして表現している。【思】 |
2 | ・酸素と二酸化炭素の性質を調べよう。 | 実験結果を基に,発生した気体について科学的に考察し,表現している。【思】 | |
3 | ・身の回りの物質から 発生する気体を調べ よう。 | 様々な気体の発生方法と捕集方法,その性質について理解し,気体を捕集している。【知】 | |
4 | 気体の性質と集め方 | ・アンモニアを性質に応じた方法で集めて,その性質について調べる | 水に溶けやすい気体を捕集し,その性質を調べる方法について,科学的根拠を基にその手順を考えようとしている。【学び】 |
5 | 単元の振り返り | 2本のろうそく「長い方のろうそくが先に消えるのはどうしてか」 | 長いろうそくが先に消えることを、二酸化炭素・温かい(温度の高い)というキーワードを用いて記述できている【思】 |
事前準備
授業において考えるピースは「物を燃やす気体」「暖かい気体は上昇する」の2つですが、暖かい気体が上昇するのを学習するのは小学生の時です。
考えるヒントとして「暖かい気体は上昇する」ことについて紹介しておくと達成度が上昇します。
物を燃やす性質のある酸素、物を燃やすはたらきのない二酸化炭素についても学習の中で押さえておく必要があります。
実験で必要な物は準備しておく必要があります。実験道具も自作したので、必要な物は以下に列挙します。
- 実験で必要になる物
-
①2本のろうそく(2セットつくる)
- ろうそく4本(短いの2本、長いの2本)
- 着火ライター
- 集気びん2つ
- 集気びんのふた2つ(熱くなるのでガラス製が好ましい)
1つは導入での実験用で、もう一つは確認実験用です。
②確認実験で必要になる。
- サーモテープ(集気瓶上部と下部の内側に貼り付ける)
- 線香(火が消えることで酸素がないことを確認する)
⇒確認実験では時間がかかるので、私は動画にしておき、当日はうまくいかなかったら動画を再生する様にしておきました。
授業の流れ~導入~
・既習を想起させる
二酸化炭素や酸素の性質について思い出す。
・不思議な現象に出くわす
考えるカラスの動画を見ても良いが、実際にやる方が興味をかき立てられると思う。3択問題形式で簡単に予想させてから実験をすると効果的。
・課題「長い方のろうそくが先に消えるのはどうしてか」
~展開~
・予想する
課題に対して自分の考えを表現する。絵でも文字でも良いので自分の考えを表現させます。言葉が苦手な生徒がいる場合、絵で書いてもらい説明してもらうと少し評価しやすいです。
・考えを共有する
グループや全体で意見を共有する。気になるところは質問して全体に問う。
・確認実験を行う。
上の方が暖かいこと、上の方には酸素がないことを証明する。予備実験の際の様子を動画にしておくと失敗しても安心です。
~まとめ~
・課題に対するまとめ
課題に対するまとめを自分なりの言葉で書く時間です。
・本時の振り返り
気をつけること
研究授業にしては実験を2ついれているので考える時間が十分にとれない可能性も出てきます。中学1年生なので①なぜこうなるのか予想する②確認実験を行い結論づけるという2時間構成でも良いと思います。
どの授業でも走ですが時間管理を忘れず、動画の活用も考えておいた方が良いです。
個人で考えて⇒全体へ広げる構成は時間がかかるので、GIGAの端末を活用したりホワイトボードを活用したりすると時短になります。
その他 随時追加予定
他の話についても、追加して行く予定です。現場の理科の先生の参考になれば幸いです。
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